あるメソッドの紹介

 
前の記事で触れた「あるテクニック」については書きたいことがたくさんある。と同時に、書いても仕方ないという気持ちも強かったりする。自分で整理、消化できるまで待とうとも考えたが、まずはそのまま訳してみた。

なお、シンプルなインストラクションから受ける印象とは違って、劇的な影響が生じることが多いテクニックだと言われている。かなりひどい状態が何年も去らない場合もあるらしい。そういう注意書きを読まずにいきなりやってしまって、僕の場合はけっこうな混乱が続いている (釣りに行ったり、子どもと話をしたりして、一時的にかなり落ち着いた気はするが)。

だから、安定が望ましい状況にある人には薦めない。出産直後とか、結婚直前とか、そういう人はやめておいたほうがいい気がする。「またまた〜、そんな大げさな」と思う人はあくまでも自己責任で

うまくいったかどうか (うまくいった感じがしたかどうか) はどうでもよく、真剣に1度だけやれば終わりということだ。

原文: The Direct Look Method (JustOneLook.org)

== 以下、メソッドの訳 ==

「見る」とはどういう意味か?

見るとは、意識に上るものが何であれ、それに対して注意を向けるときに私たちが自然におこなうことだ。たとえば今について言うと、自分の注意のほとんどがこの文字に向けられていて、それ以外のことはほぼ無視しているということに気づくだろう。

注意を思いどおりに動かせることに気づこう

はじめに、自分の注意を少しのあいだこの文字から離して、呼吸の感覚に焦点を合わせてみる。息が鼻を通って出たり入ったりする感覚を意識する。

息が鼻孔を通り過ぎながら出ていくときに生じる皮膚の感覚に焦点を合わせる。目を閉じた方がやりやすいかもしれない。

 息を吸う。息を吐く。吐き終わったら、心の中で数える。「1」
 息を吸う。息を吐く。吐き終わったら、心の中で数える。「2」

こうして数えながら、10になるまで続ける。10まで数えたら1に戻る。途中で数を忘れたら、1からまた始める。

これを自分で1分続けてみる。終わったら、ここに戻って続きを読もう。

注意を「自分」の感覚に向ける

いまやってみて、自分の注意を動かして、任意に選んだ感覚に集中させるのは比較的簡単だということに気づくだろう。

では、注意を呼吸に集中させたのと同じように、今度は注意の焦点を内側に向けて、自分であるというのはどんな感じがするか、「自分」と呼んでいるものとして存在するそのかすかな感覚を探してみよう。

ここで探すのは、単純に自分が自分であるというその性質だ。自分を通り抜けていく思考でも、自分の内側で戯れている感情でも、自分の内側に現れては消えていく感覚でもない。自分というのは、つねにここにあるものだ。それ以外のすべて ― 思考、感情、感覚 ― は自分の中にやって来ては消えていく。

これで終わり

今の時点では他にすべきことはない。内側を見るというこの単純な行為が、我々のほとんどが生きる上で経験している不安、不信、不満という背景を自動的に解消するだろう。

内側を見ている状態にとどまろうとする必要も、その状態でくつろごうとする必要もない。見ることは非常に短いあいだに起こる。あまりにも瞬間的に起こるから、ほとんど気づくこともないはずだ。

自分自身を見るというこの単純な行為は、自分に合うやりかたで、したくなったときはいつしてもいい。

このあと何が起こる?

そのうちに、自分の人生との関係が変わってくる。以前なら自分をイライラさせていたものに対する反応の仕方が変わるだろう。神経質なふるまいや自滅的な態度が消えて、否定性が影を潜めて前向きな行動パターンが現れる。

自分と自分の人生のあいだの距離がなくなり、自分の人生との親密さが新しい質でゆっくりと現れはじめるだろう。

あまりにも簡単だし、話がうますぎる? そう思えるかもしれないが、世界中の何千もの人たちが、この単純な行為が人生との関係を変容させる力をすでに経験済みだ。疎外と不信と恐れという関係から、生きることの無限の不可思議さにまるごと自然に浸されるという関係へと変容する。

私たちがこれを紹介している目的は、注意を動かすというこの単純な行為とその重要性を、自分の人生には価値がないという感覚にうんざりしている人たち、理解も対処もできない世界につかまってしまったという感覚が嫌になっている人たち、何かが欠けているという感覚に飽き飽きしている人たち、恐れや疎外や不安といった病に苦しみつづけながら過ごす日々の数多くの失敗の中でしか人生をうまくいかせる方法は見つからないという感覚に疲れてしまっている人たちに伝えることだ。

== 訳は以上 ==

このメソッドを誰がどう始めたのか、似ている他のメソッドとの違いは何か、どんな影響があるか、よくある質問、注意事項などについては後日触れることにしたい。(たぶん)

(追記) この記事を投稿したとたん、「これは〜の瞑想法と同じですね」「ただの〜テクニックです」というようなメールがいくつか舞い込んだ。そういった反応は予想していたけれど、そういうことを知りたいわけではないので、あしからず。

(追記2) このメソッドはジョン・シャーマンという人が始めたもので、メソッドの原文はThe Direct Look Method

(追記3) 「これだけではわからない、もっと丁寧に教えてほしい」という人は、よくある質問のページを参照するといいでしょう。

(追記4) このメソッドをした後にやってくると言われている困難な「回復期」を通り抜けるためのエクササイズがある。注意を向けるエクササイズの手順

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あるメソッドの紹介」への3件のフィードバック

  1. アジャシャンティのお話の頃から、拝読しています。
    あるテクニックとは、ここに紹介されていたことだったのですね。もっと長い複雑なことかと思い、続きを
    期待していました。
    ところが、その後、休眠なさっていましたが、再開されて、本当にうれしいです。
    なんか、やばそうですが、ジョンさんのテクニック試してみます。

  2. かいりきまーちゃんさん、コメントありがとうございます。

    アジャシャンティの話というと、SANDカンファレンスに行っていた頃でしょうか。そうだとすると、ずいぶん長いあいだ読んでいただいていることになりますね!

    ジョン・シャーマンのメソッドは恐ろしくシンプルで、しかもマインドフルネスとかニサルガダッタのI Amに注意を向けるといった方法と似ているように見えるので、「これの何が?」と思う人も多いと思います。このあと、ジョンの解説をいくつか訳して紹介していく予定ですが、そこにはそうしたものとの違いについて多少書かれています。

  3. コメント返信ありがとうございます。

    アジャの動画をこちらで拝見。意外に分かりそうな英語

    なので、誘導瞑想のCDを買いました。聞き取れないところが

    大分ありますが、興味にひかれて聞いていると、不思議な

    静寂になりました。本当にありがとうございました。

    翻訳は拝読しています。休眠せずに、時々でも、ヤルヴィや

    ONSAYACOFFEEのような、ユニークな感想などでも

    アップされるとありがたいです。私はきゃろとこーひーの

    通販を楽しんでします。今回はミナトさんのブログから逆侵入して

    きました。ミナトさんのご紹介も感謝します。あのブログ

    眺めてるだけで不思議な静けさになります。どうぞお元気で。

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