非二元、グル、本 (ジュリアン・ノイスのインタビュー)

 
ジュリアン・ノイス氏のインタビュー。英国にある非二元専門の出版社Non-Duality Pressの代表。

僕のすごく好きな人で、たぶん会ったのは3度ほど。最後に会ったのはオランダで開かれたSANDで、シャクナゲが満開になったホテルの庭を一緒に散歩したのは幸せな時間だった。「先生たち」の話を聞くのに少し飽きて、外に出てぶらぶらしていたら、彼も同じような感じで向こうから歩いてきたのを覚えている。静かな声で話すイングランドの紳士。たまに用事があってメールをしたりすると、自分ひとりで読むのはもったいないような文学的な返事が戻ってくる。

このインタビューは、Non-Duality Americaという非二元専門ブログを運営しているマシュー・キング氏によるもので、2013年に行われた。翻訳許可はもらっているが、このブログ以外に転載するのは不可とのこと。インタビュー全体の原文は以下。

原文: NDA + NDP (Interview with Julian Noyce)

インタビューのうち、面白かった部分を抜粋して訳してみた。

== 以下、訳 ==

Q. 自分でも本を出したり何かを書いたりするんですか? ご自身について少し教えてください。

A. もともと書くのが好きというわけではありません。ジェフ・フォスターは私の書いたものが好きらしくて、もっと書いたらと言ってくれたりもするんですが。最近ちょっと考えていたのは、「意識」について現在考えられていること (幻覚剤、心理学、非二元等) をいろいろまとめて一冊の本にしたら面白いんじゃないかということです。そういう各分野での動きや重なり方の現状、今後向かっていく方向、非伝統的な考え方が主流になるのかどうか、そんなことです (それから、そういうことはそもそも重要なのかという点も!)。でもまあ、実現するかどうかはわかりませんが。

子どものころはあまり本を読みませんでしたね。学校を出てから本がしだいに好きになって、結局は本の世界で働くことになりました。それ以来、出版から離れたり、また戻ったりという感じです。庭師や家具職人をしていたこともあって、今でも時間があるとそういうことをしたりします。それからもちろん、多くの人と同じように、非二元の探求をしたり関連書を読んだりということもそれと並行して起こっていました。

1993年にラメッシ・バルセカールと会い、1995年にはジャン・クラインに会いました。私はこの二人から特に大きな影響を受けています。90年代の時点では、バルセカールは例外的な存在でした。「悟り」を開いているらしいとは言われながらもかなり普通な感じの人で、彼自身の師とは相当違うスタイルでこのことについて話していました。彼に何かを投影するようなことがなければ、当時は対等な感じで一緒に過ごすことができました。

Q. これまでに何冊、あるいは何人の著者の本を出していますか? 人気があるのはどの本でしょうか。

A. 現在までに60冊ほど出しています。売れているのはグレッグ・グッド、ルパート・スパイラ、ジェフ・フォスター、ジャン・クライン、ジョン・ウィーラーの本です。売り上げには差がありますが、出している本の大半はすごく気に入っています。

Q. あなたにとって非二元とは何でしょう?

A. 本を読んでください!

Q. 非二元については本当にたくさんの本がありますが、個人的に好きな本はどれですか? その理由も教えてください。自分のところの本でも、他の出版社の本でも結構です。

A. ノンデュアリティプレスで言うと、2冊あります。ルイス・ブロウリーのGonerと、デヴィッド・カースのPerfect Brilliant Stillnessです。2冊ともこの分野の傑作と言えます。Gonerは、U・G・クリシュナムルティの晩年と死についての本で、彼の身近にいた人が書いたものです。感動します。UGの人生が自分の人生とどう関係するのかは見えづらいかもしれませんが、UGの経験と明け渡しかたを知ると、まったく呆然としてしまいます。Perfect Brilliant Stillnessは、突然起こった覚醒について、そしてそれがほどかれて理解されるプロセスについて、見事に鮮やかに描いた記録です。非常に圧倒的で学問的でもありますが、読みやすい本です。テレンス・スタンプも含めて大勢の人たちから、この本が気に入っていると言われましたが、それほど知られている本ではありません。それから、トニー・パーソンズのAll There Isも、私にとってのトップ5に入る本です ― 何というか、完成した感じがします。

ほとんどの本を省略しなければいけないのは残念で、ここで名前を挙げなかった本の著者の方たちにはお詫びしますが、もちろん他の本もすごく気に入っています。

Q. ここ数年のあいだに、非二元の表現が花開いているように見えます。何がその要因だと思いますか? 非二元が主流になることはあるでしょうか?

A. 伝統的な宗教や教えには素晴らしい点もありますが、それだけでなく、落とし穴も相当ある気はします。答えを求めている人は多いですが (「誰もが何かを求めている探求者だ」という言い方には当たっている面があると思います) 、安易な答えで良しとするのが嫌だったり、答えに余計な荷物がくっついてくるのが気になったりする人たちもいます。それが、こうした表現が最近一気に広がっている理由なのかもしれませんね。

未来についてはっきりとしたことを言いたくはありません。それでも、こうしたスタイルが主流になる日が来てもおかしくはないかなとも思っています。ジェリー・カッツが言っているように、非二元という言葉は思いがけない場所でもずいぶん使われるようになってきています。ただ、どれほど直観がきく人でも、未来の方向を当てることはできないはずです。永遠の哲学は、そういったかたちで主流になるような運命にはなくて、舞台の上で劇が進んでいるときに舞台裏で静かに佇んでいるものなのかもしれません。

Q. 伝統的なサットサンという形式についてはどう思いますか? サットサン型をやめている先生たちもいるようです。アメリカでは少なくともそうです。そうした方向で今なにか「新しい」ことが始まっているということでしょうか?

A. まったくそのとおりで、これは非常に問題をはらんだテーマです。ペイパルを使った寄付ボタンなんて絶対見たくない!という人もいます。伝統的な形式を欧米のやりかたと組み合わせるのは簡単ではありません。もっとメッセージを広めたいと思っている人たちにとっては、伝統的な形態は教える側と教わる側のあいだに距離を作ってしまうものに思えます。こうした教えが西洋で広がって統合されていく上で、この分離をいかに巧みに解体するか、という点がもっとも大変な課題だと私は感じています。どういう方向に向かっていくかはわかりません。

ずいぶん前ですが、サティヤム・ナディーンは指導役のいないサットサンをしようとしました。それからグレッグ・グッドは「グルの時代から友人の時代へ」というきわめて重要な記事を書いています。ジェリー・カッツは、普通の人たちのための非二元というものを強く主張しています。私が感じているのは、メッセージを広めるため、あるいは伝え手について広く知らせるために、フェイスブックで時間を費やしたりビジネスプランを立てて進めようとしたりするのは効果的なやりかたではないということです。そういうやりかたはうまくいっていないように見えます。健全なディスカッション・グループがいくつかあるのと、ちょっとした楽しみがあるのを除けば、フェイスブックでこれまでに何か重要なことが起こったとは思いません。こうした教えに惹かれる人たちは、たいていはとても直観的です。先生が自分のことを宣伝しようとする場合、ある程度までうまくいくことはあっても、すぐに消えてしまうケースが多い気がします。最後に残るのは本物です。本にしても先生にしても、その質にふさわしい人気を獲得します。それについてなにか人為的にできることは限られています。それでいいと思っています。

Q. 先生とかグルというのは「禁句」なのでしょうか? そうしたことについて、先生として適切なのかどうかといったテーマについては、ネット上でもいろいろと語られていて、記事も書かれています。明らかに先生ではない人が「先生である」と自称していたり、逆にすごく人々の助けになっている人が先生と呼ばれるのを好まなかったりします。「グル」という言葉にどれだけ余分な意味が乗っかっているかについては知らない人はいません。考えを聞かせてください。

A. キャサリン (訳注: ジュリアン・ノイス氏の奥さん) と私は、自称先生が現れたことに気づくと顔をしかめることもありますが、先生との出会いが人生でどれだけ役に立ったかということについてもキャサリンは気づかせてくれます。あいにく、白と黒で割り切れる世界ではありません。私たちが出している人気の本の著者のうち4人は、フルタイムの仕事を持っています。そのことには私は敬意を払っています。

とはいえ、フルタイムで先生をしている人にも、そうしているそれなりの理由があるのかもしれません。もっとも多いのは、いろいろなところに呼ばれているという理由でしょう。

Q. 第二のエックハルト・トールはいますか? バイロン・ケイティはかなり多くの人たちに人気がありますし、もちろんアディヤシャンティもそうです。彼らを「ロックスター」にたとえる声も聞きます (残念なことに) 。どうでしょう?

A. エックハルト・トールの人気は不可解です。否定的な意味で言っているわけではないんですが…。彼のような人気をでっち上げるのは不可能だと思います。どうしてあれほど人気があるのか、私にはその理由がみつかりません。いつかの時点で、とんでもない数の人たちにメッセージを伝えるようになる人が出てくるのかもしれません。教えの本質を損なわずにそれができる人がいるのであれば、それはすごく喜ばしいことです。

== 訳は以上 ==

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非二元、グル、本 (ジュリアン・ノイスのインタビュー)」への4件のフィードバック

  1. ヒロさん こんにちは。
    このインタビュー、とても 面白いですね。

    「誰もが何かを求めている探求者」。
    たしかに、非二元にしろ、もっと他の一見 俗っぽく見えるような欲にしろ、なにがしかのモノを求めてるのが人間なんだろうなあ という気がします。
    最近、原点回帰 (回帰するものないけど) のような感じで、探求熱も さっぱり 引っ込んでしまったんですが、非二元の情報を拝見するのは やっぱり楽しいです。

    エックハルト・トールの人気ぶりは本当に不思議・・・。
    語り口がソフトで スピ好きに 万人受けするんでしょうかね。

  2. ネムノキさん、こんにちは。

    エックハルト・トールの人気は僕にとっても謎なのですが、ドラマチックな目覚めのストーリー、ペインボディなどのわかりやすい概念、「悟った人」という一般的イメージを裏切らないキャラクター、ストーリーの枠を壊さない安心感といったところが要因なのかなと思いつつ、有名アイドル等の人気もイエス・キリストの2000年以上にわたる人気も全然理解できないんだから結局わかるわけはないか、という感じもしています。

  3. イエス・キリスト・・・ !
    そうですね、その人気も謎 (笑)
    聖書なんて、世界で 60億部も刷られてるらしいし、ホント凄いです。

  4. エックハルトは、人気だから人気なのではないでしょうか?起きてる事があるだけなので、不思議な感じしないです。

    いきなり意見して不快に思わせたらごめんなさい。

    いつも色々なページ読ませてもらってます。
    とても楽しく読んでます!

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