写真と本

 
『わかっちゃった人たち』の出版の準備をしていたとき、原著者のサリー・ボンジャースさんから、自分の写真を日本語版の本の本文に使いませんかという提案があった。

映画監督でもある彼女は、日本に来たときに写真をたくさん撮ったらしく、この本のテーマに合いそうなものがたくさんあるということだった。でも、外国の人からそう言われると、鳥居とか浅草とか枯山水とかそういう写真が頭に浮かんで、写真を見もしないで丁重にお断りした。

もちろん、原著にない写真が急に登場するのもなあとも思ったし、それ以上にカラー写真を入れると印刷費用が跳ね上がるんじゃないか、という切実な事情もあった。

そのときにふと思ったのが、もしそういうことをするのであれば、青雀さんの写真でそんなことがいつかできたらということだった。

aosuzume’s photos

Non-Duality Pressの何冊かの本 (これこれこれとか) 、あるいはサーファーズ・ジャーナル (これ) みたいに、写真をフィーチャーしたカバーの本。それか、章ごとにタイトルページに写真を入れるとか。

僕は写真のことはまったくわからないし、自分でも出かけたときにスマホで写真を撮るくらいのことしかしていない。だから、写真のどうこうは全然言えない。でも、青雀さんの写真には魅力を感じる。

青雀さんの写真には、不思議な奥行きがあって、でもストーリー性をあまり感じない。ストーリー性や独特な存在感がありそうな素材のときでも、うるさいストーリーがない感じがする。そのかわりに広がりがあって、時間がとまったような解放感があって、見ているはずの自分が一瞬どこかに消えてしまうような快感がある。それと、彼の車や鉄系の写真でいつも感じるような色っぽさというか艶も印象的だ。

だから、こんな写真とかこんな写真とかこんな写真とかこの記事のミシンの写真をカバーに使った本なんていいだろうなあと妄想が膨らんでしまう。

で、その青雀さんが写真撮影サービスを始めたということを知った。(この記事)

お店を持っていたり、なにか物を売る仕事をしていたりしたら、僕ならすぐにお願いしてしまいそうだ。雰囲気のある家をつくる建築事務所とか、ぴったりかもしれない。と、勝手にわくわくしてしまった。

と、なんとなく嬉しくなって、ちょっと久しぶりに記事を書いてみました。

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写真と本」への6件のフィードバック

  1. ああ、良いなぁ。
    素敵な写真ですねえ。
    言葉では語ることの無いもの達が語るその呟き、無音の響きに眼を止め、耳を傾ける様にシャッターを切られている、そんな印象を抱きました。
    私は最近20年振りに喫煙を再開したのですが、煙を吸い込んで吐き出すそのほんの僅かな時間、思考が止まり、ふっと自分という縛りから解放される様な浮遊感を味わっています。
    その時目にする風景は、近いものがあるかもしれません。青雀さんの写真の様な艶っぽさには欠けますが。

    素敵なサイトのご紹介、ありがとうございました。

  2. 追伸

    例えば、『雨』や『そら』、『夕暮れ』の街灯の写真、それに合うスペースが持てたら。。。
    いや、むしろ写真に合う家を建てられたら。。。

    なんて素敵な妄想が、久々に出来ました。

  3. 私も青雀の写真が好きで、彼の写真空間に音楽を入れてみたりして遊んでいます。ヒロさんのブログで青雀が紹介されてすごくうれしいです!

    ヒロさんの言葉と、青雀の写真と・・それはもう、わくわくいたします!

  4. inglewolfさん、コメントありがとうございます。その表現、みごとですね! 「無音の響き」、まさにそんな感じです。

    喫煙再開とはちょっと驚きです。僕はちょうど昨夕、近所の家から漂ってくる蛍族の煙に「それって他人の庭にごみを投げ捨てるのと変わらないじゃん」とムッとしながら喫煙者全員を恨んでいたところでした(!)。20年ぶりなんてことがあるんですね。僕も20年ぶりに馬券再開なんてことがあったら、それはそれで楽しいのかなとか考えてしまいます (楽しくもないか) 。

    「それに合うスペースが持てたら」というのはいいですね。ジャック・ジョンソンの曲が合うような世界にいられたら (スタバ以外で) と僕も思ったりしますが、青雀さんの写真の場合はそれを通り越して空間そのものになってしまう感じがします。

    ふたつのつきさん、こんにちは。

    素敵なセレクションの動画ですね。いろいろな曲、いろいろな温度、いろいろな想いに合う (べったりせずに) 写真のように思えます。押し出さない迫力、静謐の中の明確な息づき、錆びた鮮やかさ、とか下手な言葉が出てきてしまいますが、いいから写真見てろって話ですね(笑)

  5. 私はサーフィンが好きでして、サーファーズジャーナルは欠かさず読んでおります。

    サーフィン雑誌では記事・写真とも最高のクオリティで、経験を積んだ大人のサーファー向けの雑誌であります。
    サーファーズジャーナルに目を付けるとは、さすがヒロさんです。

    サーファーズジャーナルで特集されたことがある日本人サーフィンカメラマンがおりまして、その人の写真も大変素晴らしいです。
    カメラ専業ではなくプロサーファーでして、カリフォルニアに移住してから趣味でカメラを始めたという人です。
    名前は船木三秀さん。
    素晴らしい写真を撮っていますので、ぜひチェックしてみて下さい。

    インスタグラム http://instagram.com/nakisurf
    ブログ http://www.nakisurf.com/blog/naki/

  6. ヤスさん、こんにちは。

    サーファーズジャーナルは一冊しか読んだことがないのですが、すごく抑制された雰囲気がかっこいいなあと思いました。表紙も、ものすごく大きな波の写真なのにそこから感じるのは静謐そのものという印象で、うっとりしてしまいます。

    僕はサーフィンはまったくしたこともないのですが、落ち着いた感じのサーファー向け雑誌のデザインにだけは惹かれてしまいます。最近は山関係でも洒落た感じの雑誌が増えてきていますね (terminalとか)。

    船木三秀さんという方は知りませんでしたが、かっこいい写真をたくさん撮っているんですね。写っている人たちのいい顔が印象的です。教えていただいてありがとうございます。

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