ジョーイ・ロットのQ&A動画

 
予告されていたジョーイ・ロットのQ&A動画シリーズが始まった。

Nothing In The Middle – Episode 1

Nothing In The Middleというシリーズ名は、「中間には何もない」つまり「仲介物なし」とか、「真ん中・胴体はからっぽ」つまり「誰もいない」とかいった意味だろうか。けっこうな数の質問が集まったようで、第一弾は1時間44分という長尺だ。

髪も髭も伸びていて「Let It Beのポールか!」 とつっこみたくなる感じ。しかも、いきなりオリジナルのテーマソングから始まっている (動画を見る人が話を深刻に受け取らないようにするという意味もあるらしい) 。

ちなみに、ジョーイは撮影前には質問を読んでいないようで、ぶっつけ本番。これはミーティングやサットサンでいきなり変な質問が飛んでくるのと似たフォーマットだ。

文章で読むのと違って、本人が一瞬考えたり、「いや、待てよ」という感じで前言を翻したりするのを見るのは面白い。

まあ、「よくやるよ」と僕は半分呆れていたりもするのだが。でも、クリアな感じはさすがだし、このことについてしゃべるのが楽しくて仕方ないという雰囲気も楽しい。

それで、僕から送った質問と、先日の記事のコメント欄に寄せられた質問に今回答えてくれているから、質問と一緒に彼の答えを書いておきたい。(と言っても逐語訳ではなく、適当にはしょっている)

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Q. 僕の質問

解釈やラベリングのことを、ありのままとは根本的に異なるものとして話す先生たち、著者たちがいます。でもそれは、「解釈しちゃいけないんだ! 解釈してしまったら今あるものの単純さを見失ってしまう!」といった無用の緊張につながる可能性もあるんじゃないでしょうか?

A. ジョーイの答え

理解しよう、自分の枠組みに合わせて何かをしようという動きはすぐに出てくる。どこかにたどりつこうとする。だから概念的なレイヤーは不必要だと聞くと、「概念取り締まり警察」になってしまう。でも、どんなことも今あるもので、今あるものにはたどりつきようがない。たどりつこうとすると見落とす。解釈が起こったら、それに気づけばいい。解釈している人がいるわけではない。誰かがやっているとか、誰かの仕業だといった観念を見抜くこと。そうすれば想像上の脅威から解放される。ちょっとのあいだでいいからすべて手放す。一切何もする必要はないし、コントロールする必要もない。どっちみち何も起こっていない。ただこれがあるだけ。

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Q. フーケさんの質問 (を略して訳して送ったもの)

今あるものの単純さを認識したら、政治的・社会的問題に対する関心や社会的不正義に対して行動しようという動機には変化があるのでしょうか。解放されていないかぎり、どんな抗議行動も見当違いなのでしょうか。「目覚めた人たち」は、自分に直接の被害が及ばない限りは行動を起こさないのでしょうか。

A. ジョーイの答え

ものごとは起こるように起こる。ルールは何もない。脱落するものごともあれば、脱落しないものごともある。重要だったことが重要でなくなることだってある。これが今あるものだということについて、しっかりした確信が起こっている。葛藤や疑念はない。気楽さ、明晰さがある。自分も以前は活動家だったけど、今はほかの人の考えを変えたいという感覚はない。宗教も放棄した。自分の信念をほかにすすめても役立たない。僕はアナーキスト的な考えを持っていて、それは重要だと思っていた。でも今はそうは思わない。以前は小さな文脈で見ていた。その小さな文脈の中でだけ自分の意見は真実だった。今は文脈がオープンになって、境界がなくなった。不快さを進んで受け入れ、白黒つけようとせずにグレーやいろいろな色を許容するときに、平安が見出される。

どんな行動も見当違いじゃない。今あるものがある。そこに個人はいない。解放、目覚めは倫理的な価値観に関係しているという前提があるようだけど、倫理的な価値観は解放とは関係ない。そして解放される人、目覚める人はそもそもいない。どんな抗議にも問題はない。ただ単に効果がないというだけ。抗議すること自体が目的なら、それでいいけど。

目覚めた人は抗議活動をしないか? そんなことはない。その質問は目覚めた人がいるという概念が前提になっている。境界が存在しないことがわかると、直接被害を受けるといった概念は意味をなさない。現実には境界も途切れも存在しないとわかれば、選択がありえないこと、どんな行動も勝手に起こっているということがわかる。問題に対して行動を起こす道徳的義務があるといった根拠のない観念は脱落する。文脈に境界がなくなる。狭い文脈の中にいるときにだけ、正しい、正しくないという観念が現れる。
 
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ちなみに、ジョーイへの質問を代わりに訳して送るというのは、都合により中止。答えを訳すのが大変だということを忘れていたため。

どうしてもという人がいたら、これまでに訳したジョーイの文章を再読してみてください。彼の答えはだいたいすでに書かれているはず。

追記:と思ったけれど、ジョーイから「さらなる質問大歓迎」という連絡があったから、やっぱり再開します。英文で自分で質問が書くのが大変な人は、この記事のコメント欄に質問を簡潔に書いてください。

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ジョーイ・ロットのQ&A動画」への3件のフィードバック

  1. こんばんは。
    この度は、私の拙い質問の文章をこれ以上ないほど、的確かつ明晰に要約してジョーイさんに質問してくださってありがとうございました。また、ジョーイさんの返答の翻訳も本当にありがとうございました。私も日本語ですが過去に講演のテープお越しをしたことがありまして大変苦労をした覚えがあります。まして今回のヒロさんの作業は英語から日本語に、しかも要点を整理しながらの作業ですので本当にご苦労されたとお察しします。ありがとうございます(動画での私の質問へのご返答の部分はラスト10分あたりでしょうか?)。

    ジョーイさんのご返答は何十回と読ませていただきました。けれどもやはり俗人の私には難しくてなかなか理解が出来ませんでした。
    過去にナチスや強制収容所を生んでしまったヨーロッパですから、その経験から未然に防ぐための投票行動くらいはありかな、とぼんやりと思っていましたら、「ものごとは起こるように起こる」「不快さを進んで受け入れ、白黒つけようとせずにグレーやいろいろな色を許容するときに、平安が見出される」とあったので、ナチスや強制収容所も許容するのかなと思ってしまいました。また「文脈がオープンになって、境界がなくなった」なら、人の痛みを我が痛みとしてして受け取って、そこから行動も生まれるのかなとも思いましたがどうやらそうでもなさそうです。私の誤読かもしれませんが。

    でも「葛藤や疑念はない。気楽さ、明晰さがある」、そんな心境には憧れます。そういう心境に達して初めてジョーイさんのおっしゃることが理解できるのかもしれません。それでジョーイさんのおっしゃる「スキャン」などもしてみるのですが、ジョーイさんは動画の中で「seach」が終わったときにということをよくおっしゃっていたように思いますが、「スキャン」もまた一つの「search」じゃないか、という疑念が生じ、そうした疑念がまた、ヒロさんのジョーイさんへの質問ではないですが「無用の緊張」を生んだりもします。以上、俗人たる私の現在地と感想です。

    ジョーイさんからの伝言も大変うれしかったです。そのお心づかいにいっぺんにファンになってしまいました。ヒロさんのお蔭で貴重な交流が出来たことを重ね重ね感謝します。ジョーイさんの本の邦訳がまだ出ていないようですが、原書でもよいので何かお薦めのものがありましたらご紹介ください。もしヒロさんの翻訳が出た暁には、いの一番に購入させていただきます。

  2. 先日ヒロさんが触れていた Liberation Unleashed のサイト、見てみました。
    ああいうものがあるんですねぇ。よく作られてて、アプリまであったりで。何でもある時代なので驚く様なことでも無いのでしょうが。
    動画もいくつかチェックしてみましたが、うん、確かに萎えますね(苦笑)。全く爽やかじゃなくてびっくりしました(笑)。
    (特に’Sharing silence’(ティーチャー?達が入れ代わり立ち代わり沈黙の中こちらをじっと見つめる動画)は。。。久々に見ていて『どうしよう。。。!(^^:;』と思った動画でした)

    それに比べるとジョーイのあっけらかんとしたヌケの良さ、明快で軽やかな話し方は見ていて心地が良いですね。(長いけど!)著作以上に彼自身のクリアさ、Nothing in the middle 感が良く伝わって来ました。
    (なんて思っていたら、ジョーイが Liberation Unleashed に寄稿してますね。いつもの明快なジョーイ節、あのサイトでは異彩を放ってておもしろいですね)

    私は彼が他のティーチャー?達とは違って(見える)いることを彼自身どう思っているのか、直接聞いてみようかと思っています。
    (ホントは同じ位どんどんワイルドになる髪型と髭のことについて興味があるんですけど!)
    エピソード2が1より長編にならないことを願いつつ。。。

  3. フーケさん、こんにちは。お役に立ててよかったです。(「要点を整理しながら」と言うよりも、自分に聞こえた印象を書いてしまっている面もあるので、大したことはしていないのですが)

    ご感想ありがとうございます。今回のジョーイの答えは、やはり理解できるものではないと思います。理解できるとしたら、それは嘘の「納得」ではないかとさえ感じます。ジョーイも、言葉で伝わることではないという点については確信しているのではないでしょうか。

    ジョーイの本のおすすめは、今タイムリーですが、新しく出た本Peace Feels Like Thisが13日と14日限定でAmazonで無料です。Kindle本ですが。PCやスマホでもアプリを入れれば読めます。それ以外だと、You’re Trying Too HardとNo One Home、それからAlready Awake Already Freeがおすすめです。多少下品な言葉遣いもOKでしたら、Who the F#%k Cares?も面白いです。

    inglewolfさん、こんにちは。

    アプリとか作られると、僕は引いてしまうタイプです。本当に何でもある時代ですよね。Liberation Unleashedとはまた違うものですが、ある動画があって、若い人たちがニコニコしながら非二元を語るのですが、「なんとなく気持ち悪いなあ」と思いつつその人が属しているというグループのサイトを見てみたら、爽やかさの対極という感じで思わずシャワーを浴びたくなりました。

    髭については、僕もちょっとどうなの?と思っていたのですが、ポートランドの本などを見ていると、ごっつい髭が一部では流行っているようで (「portland beard」で検索するとわんさか出てきます)、わけがわかりません。ジョーイの場合は森に住んでいた(元)無政府主義者ということで、そういうイメージなのかもと勝手に想像しています。そのうち「某尊師か!」という感じになりそうで、怖いですが。

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