コーヒー、フライフィッシング、そして・・

 
10月に、ベジャビスタという農園のコーヒーを飲む機会がたまたまあった。香りも味わいも驚きだった。自分の持っていたコーヒーの概念を大いに超えていた。

それ以来、スタバのリザーブシリーズを飲み比べてみたり、スペシャルティコーヒーと呼ばれる種類の豆を通販で買って飲んでみたり、BRUTUSのコーヒー特集を眺めてみたりしている。にわかに起こったコーヒーブームだ。

そんな中、もっとも感動したのは、BRUTUSで知ったカフェテナンゴというお店から購入したエルインヘルト農園 (グァテマラ) のパタゴニアというパカマラの豆だ。エアロプレスという、これも最近買った器具を使って抽出したコーヒーのその味は、チョコのような甘さとフルーツのような芳しさが際立ち、しかもものすごく飲みやすい。別次元という印象だ。

注文前にカフェテナンゴのサイトの商品説明を読んだが、オーナーさんの情熱がびんびんと伝わりすぎるため、ちょっと思い込みが激しい熱すぎるタイプの人なのかなあと、実はちょっと引き気味に注文した。

が、口にしてみると、生産者とオーナーさんのコーヒー愛がそのままストレートに全く雑味無しに伝わってきて、本当においしかった。最初に飲んだときから数日の間、ふとしたときに味と香りのフラッシュバックが起こり続けるほどだった。

まるで、現在をコーヒーの芳香で満たすだけでは足りずに、過去と未来にまでその香りが浸透したような感じだ。

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それと同じくらいの時期に、書店でふとフライフィッシング雑誌が目に入り、美しい鱒の写真の数々に目を奪われた。

英国発祥の紳士的な釣りということで、「かっこいいから、やってみようかな」などと思いつつ、いくつか図書館で関連の本を借りて読んだりした。そして、中沢孝さんという人の存在を知った。フライフィッシングの同人誌『フライフィッシングジャーナル (FFJ) 』と商業誌『フライの雑誌』を創った人だという。

中沢さんのエピソードを読むと、70年代の始め頃には当時日本では珍しかったフライフィッシングを始めていて、海外産の新しいフライを奥多摩などでどんどん試していたらしい。そして、自分で釣るだけではなく、フライフィッシングの世界の優れた表現者をどんどん発掘して育てたり、釣り場と漁協の問題について積極的に動きまわったりもしていたという。

近所の釣具屋に置いてあった『フライの雑誌』のバックナンバーを買い求めて読んでみた。そこには独特な世界が展開していた。比較的地味な誌面ではあるが、美しい写真の合間に、小洒落た「アメリカなんとか誌提携」みたいな雑誌ではみられないような、洗練されてはいないけれどフライフィッシングとそれを楽しむ人たちの魅力があふれた文章が連なっていた。

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自分もこのお二人のような素敵な仕事をしてみたい。あるいは、それは無理だとしても、彼らのように自分の愛することをちゃんと追求したい、と思った。

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