トニー・パーソンズ 書籍からの抜粋 その3

 
トニー・パーソンズの対話集Nothing Being Everythingからの抜粋(Book Extractsに掲載)を翻訳するシリーズの三つ目。

== 以下、翻訳 ==

Q. 人も存在していないし、選択というものもない、ということは分かりました。つまり、過去というものは存在してなくて、過去に人が何らかの条件付けをされているということもない、というふうに理解しました。それでいいですか? 過去はないんですね?

A. 過去や条件付けといったようなことは、生じているように見えます。ですが実際には、そのようなものとして現れる、時間を超越した存在(being)があるだけです。

Q. ということは、こうした対話は実際は起こらなかったということですね。では、今というのはいつのことですか?

A. 今などありません。

Q. 今もないんですか?

A. 起こっていることは何もありません。過去もないし、未来もないし、上もないし、下もないし、内側もないし、外側もありません。今この瞬間というものはありません。私に今の瞬間を見せてください。どこに今の瞬間がありえるでしょうか?

Q. それは、今の瞬間というようなことは概念だからですか?

A. そう。そういうものは、夢か信念にすぎません。分離した人間の経験というものは、時間、目標、意味、目的、原因と結果、カルマ、過去生といったようなことの中で生じますが、そういう夢のストーリーがこれとして生じています。分離した瞬間、人間は答えを求めます。そして、「何か意味があるに違いない。なぜこれは起こっているのだろう?なぜ自分は楽園にいないのだろう?善はどこにあるのだろう?どこで善を失ったのだろう?自分の人生には目的があるに違いない。ということは、私はその目的を見つけ出さないといけない」というような考えに執着します。そうなると、人は目的を教えてくれる人のところへ向かいます。悟ったマスターのところへ行くと、マスターはこう言うでしょう。「さよう、人生には目的があるのじゃ。努力、犠牲、献身、帰依、変化、それから精神と肉体の浄化、そういったことを通して、どうしたら目的を見いだせるか、わしが教えて進ぜよう」。 そうした「なること」の教えを彼らは授けます。

Q. もし目的が何もないとしたら、怠け者になってはいけない理由はありますか?

A. ありません。もし怠け者になるということが起こるのあれば、それは起こります。怠け者になるかならないか、ということを自ら決められるような人は誰もいません。こんなことを言う人たち、教師たちが沢山います。「トニー・パーソンズは、スピリチュアルな怠け方を教えている」と。もちろん、そんなことを言う人たちは、ここで伝えられていることを理解していません。彼らは、私がこう言っていると思っているのでしょう。「あなたにできることは何もないのだから、家に帰ってイーストエンダーズ(訳註: 英国BBCテレビのドラマ番組)でも見ていなさい」と。でも、ここで伝えられていることは、それとは違います。

メッセージの根本はこうです。「自由意志を持って選択ができるような、分離した存在といったようなものは、存在していない。だからイーストエンダーズを見るか見ないかということを決めることができる人は、誰もいない。見かけの上で何がなされるか、なされないかというようなことは、存在にとっては全くどうでもいいことだ」

Q. 人が自分というものに執着している場合には、ものごとを変えようとしたり、何かを欲しがったり、何かをしたりするということでしょうか。

A. 自分がそういうことを行なっていて、さらに得るためにもっと行為をしないといけないと考えている、という夢を見ているということです。

Q. では、その夢はただ消えるということですか?

A. 夢が消えるのではなく、分離していると感じていて、分離している状態から離れたいと感じている主体が消えます。あるのは存在だけです。存在を思い描くことはできません。言い表すこともできません。知ることすらできません。

Q. この話には本当にひきつけられます。とてもひきつけられます。

A. とてもひきつけられるものでしょうし、興味をそそられるものでしょう。あなた、にとっては。起こっていることから「私」を取り除いたとしたら、残るのはただ起こっていることです。たった今起こっていることに関して、何がそんなに興味をそそるのでしょう? つまり、ものごとはただ起こっています。何かに強くひきつけられるというのは、どういうことでしょう?

Q. 思考が作るストーリーによって、とてもリアルに感じられるということです。

A. でも、そのストーリーはたった今、どこにありますか? ストーリーの中でいま何が起こっていますか?

Q. ストーリーの中で何が起こっているか?

A. 今それはどのように展開しようとしていますか? ストーリーは存在していますか? 今この瞬間、身体の中で何が感じられますか?

Q. 疲れです。

A. では、それが今あるものです。それがこれ、存在です。でも、マインドはその疲れをとらえて、こう言います。「ほら、これはお前の疲れだよ。だから、今お前がしないといけないことは、寝るか、熱心に考えるのをやめるか、エネルギーをもっとましな方法で使うことだよ」 そうやって、あなたはストーリーに舞い戻って、ものごとを自分のために改善しようとします。

Q. なるほど。疲れがあるから、そうなるということですね。

A. そうではありません。なぜそうなるかというと、あなたがまだそこにいて、疲れというものを自分のものにしているからです。それから、ベッドに入って12時間寝たとすると、気分がすっきりしたということを、今度は自分のものにします。そうして常に「お前は気分がよくなるぞ、とか、お前の気分は悪くなるだろうよ」ということを語り続けます。存在している中で、もっとも大変でもっとも強力な中毒、それが「私」なのです。

== 翻訳は以上 ==

トニーは、表現にいくらかの違いはあるが、基本的にいつも同じことを言っている。よく疲れずに同じような質問に同じように答えられるものだ、と呆れてしまう。

何か違うこと、何か希望のもてることを言ってくれないかな、と淡い期待を抱きつつ話を聞くのだが、期待があるときほど、裏切られる。ゲームだとしたら、ひどいゲームだなと思う。

その4はこちら

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トニー・パーソンズ 書籍からの抜粋 その3」への3件のフィードバック

  1. 最後の、ヒロさんの溜息が伝わってくるような感想、面白いです。

    今まで、トニーのリトリートなどに参加された時の感想も、重い気持ちになってしまったと嘆いていても、繰り返し参加されておられますね。

    他のアドヴァイタの教師達よりも、トニーの妥協のない非二元の教えに、ヒロさんは惹かれるのですね~。

    全く媚びないクールビューティな美女に惹かれるようなものでしょうか・・・ちょっと違うかな(^o^)

    そんなヒロさんのお陰で、我々は、トニーについて知ることができるので、ありがたいですが。

  2. すごい連続投稿ですね。ありがとうございます。

    読んでて、面白くなさ過ぎて、なんか面白くなってきました。笑

    言葉を追って理解しようとしても脳が拒否するので、これらとは違う肌合いで、分離はないということを思って、これらを読んだら言葉がいちいちぶったたいてこなくなりました。

  3. 全く媚びないクールビューティという感じでは全然ないですね。どちらかというと、人に惹かれているという感じはなくて、その空気というか、場の感じ、方角のない方角から漂ってくるような何かに惹かれているような気がします。

    メッセージは言葉の上では明快なのですが、それが指している先は絶対に自分の考えているところとは違うという、そんな謎な感じが好きなんだろうと思います。トニーが好きか嫌いかと聞かれると、好きとは言いがたいです。

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