明晰さと優しさ / 切断と溶解

ノンデュアリティ・カンファレンスの二日目でした。

目の前にWake Up Now(『過去にも未来にもとらわれない生き方』)のステファン・ボディアンが座っていたり、食事のときに一緒のテーブルになった人がボンベイのニサルガダッタ・マハラジのところに70年代に通っていた時の話を聞かせてくれたり、なかなか面白い日でした。

が、なんと言っても今日はRupert Spira (ルパート・スパイラ) のワークショップがとても良かったです。

もともと今日はPeter Fenner (ピーター・フェナー) の覚醒の伝授云々といったワークショップに申し込んでいたのですが、急に気が変わって名前も知らなかったルパート・スパイラのほうに切り替えました。それが奏功しました。

ルパート・スパイラは井上順に賢人風、芸術家風の味付けをしたような優しげなイギリス人で50歳。先ほど調べて初めて知ったのですが、実際に陶芸作家であり、日本でも大きな美術館で巡回展をしたことがあるようです。

優しげというのは実はけっこうこの世界(?)では珍しく、途中質問の時間にこう発言していた女性がいました。

「他の教師はみな明晰さはあるが、何か物足りないと思っていた。今日ここで気がついたのは、優しさがあふれているということ。結局何のために非二元の真理を求めるかということを考えると、こういう優しさというものが私には必要だったということが分かった」

これは僕にとってもまさに同じでした。実はジェフ・フォスターが昨日質問者に対してかなりきつい回答をしているのに接して、自分は何を求めているのだろうかという疑問が無視できないものになっていました。もちろん、今日きいた話によるとニサルガダッタは見たことがないほど荒っぽい人で、気に入らないとすぐに人を部屋から放り出していたそうですし、覚醒したといってもそれが特定の性格や人格に結びつくわけではありません。

それでも、今日ルパート・スパイラが部屋に入ってきたときから部屋に満ちていた優しさ、温かさ、親密さはとても印象的で、数時間のワークショップが終わるころには本当に部屋の100人以上の人がみな以前から知り合いだったような気になっていて、究極の真理のところは同じであっても、表現方法には好みがあるなあというのが今日の実感でした。

もちろん優しさを目指して優しくないものをどうにかしようというセラピー的なことをした人ではなく、そもそも感情を所有したりしている独立した個人というものは存在しないということを理解したことで、結果的に世界に優しくなったということでした。

それと良かったのは、内容が極めて実証的なもので、どんな質問に対してもその場で質問者の実際の経験をもとに話を組み立てていき、質問者が自分で分かって、質問そのものが溶けてしまうというものだったことです。

多くの場合、すでに分かっている人(教師)は答えを答えとして提示してしまい、これは質問者にとっては新たなビリーフ(信念、観念)になるだけで、世界をありのままに理解することからどんどん離れるというふうになってしまうので、今日目撃したやり方には感心しました。

誤った見方をがんがん言葉で切断するようなスタイル (cutting) ではなく、これまで持ち続けた信念を検証することによって切断しなくても溶解してしまうスタイル (dissolution) だということを言っていました。ほとんどの場合、溶解スタイルのほうが理解は確実になるとも言っていました。

先日Greg Goode (グレッグ・グッド) という人のStanding As Awarenessという本を読んで、それがそのような感じで、そういう方法はダイレクト・パス(Direct Path)と呼ばれるそうなのですが、ルパート・スパイラによってそれを実地で見ることができました。

そうした実証的な実験・体験によって、本当の世界の姿というものを理解すると、これまで何十年も肉体に限定された自分という世界観の慣性があるのですぐには切り替わらないものの、それを自分が生きていくことで、知覚されるまわりの世界がどんどん自分にとって親密なものになるということでした。

それをまさに生きている証明を間近にしたことで、異なるリアリティの存在とそれを理解する意義をはっきりと感じることができ、もう今回の渡米の目的はこれで達したという気分です(笑)。

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明晰さと優しさ / 切断と溶解」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    今、『過去にも未来にもとらわれない生き方』を読んでいます。まだ途中ですが、私にはとてもためになりそうです。
    ノンデュアリティ・カンファレンスの話、楽しみに読ませていただいています。
    ルパート・スパイラの溶解してしまうスタイルや、優しさと親密さあふれるワークショップは、とても気になりました。
    エゴを切断され逆に抵抗からエゴを強めてしまったり、答えを提示されそれが自分の答えかのように錯覚してしまったりしてきたので(笑)、ルパート・スパイラのようなスタイルを見てみたいです。

  2. YRさん、はじめまして。読んでいただいてありがとうございます。

    ルパートについては、彼のウェブサイト(rupertspira.com)でいくつかの動画も見ることができます。答えを提示するわけではなく、あくまでも各人の経験からスタートして実証的に感じるというやり方は抵抗も少なくて、すごいなあと思いました。

    それでも彼曰くbody-mind(肉体精神機構)の存在による慣性があり、一度理解しても戻ってしまうことがあるそうです。

    と言っても、すでにそのbody-mindによる偽りの認識には徐々にエネルギーがいかなくなるので、時間とともに溶解してしまい、エゴはだんだん拠り所をなくしていくということでした。

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