『出現する未来』(ピーター・センゲ)

U理論 (Theory U) というものに興味をもったので、『出現する未来』(ピーター・センゲ他)を読みました。

取り上げられている事例がかなり面白く、個人レベルでの気づきではなく集団での気づきとそれに基づく実行に関してリアルに描写されていて、刺激になりました。それらの事例に共通するものを説明するものとしてU理論というものが提示されていて、その説明の中に道教や仏教の教えや古くからの哲学者の言葉がちりばめられています。

事例はとても興味深いものの、なんとなくそれをU理論ひとつで説明しようと試みるのは無理ではないかなと思いつつ、ひとつの断面を切り取る道具としてはいいのかなという感じもしました。が、あくまでもひとつのツールにとどめておかないと、主体と客体の対立関係を超えて世界をありのままに見るというU理論の最初のプロセスそのものが破壊されるという矛盾が出そうな気もします。

ここらへんが、微妙な認識を必要とする作業を理論化・システム化することの落とし穴かなと思いつつ読んでいると、最後に水の結晶でおなじみの江本勝氏のことが結晶写真入りでポジティブに紹介されていました。この詰めの甘さというか、悪い意味でのニューサイエンス的、ニューエイジ的なものを混ぜてしまう厳密性のなさは致命的な感じもします。

と言っても、紹介されている事例や参照されているいわゆる賢者の言葉はとても面白くて刺激になるものばかりで、しばらくしたら再読したいという感じがします。

これを読んでいる途中で、4月から六本木アカデミーヒルズでビジョナリー・インスティトゥートというものが開講することを知りました。「今の時代の考えかたと志を刻む。 野中郁次郎氏、グエナエル・ニコラ氏、伊藤俊治氏、福原義春氏、山本哲士氏、松岡正剛氏、高間邦男氏、的川泰宣氏、佐治晴夫氏、毎月の講演、ワールドカフェ。」ということで、初回の4月20日は『出現する未来』監訳者の野中郁次郎氏の講演があるそうで、参加してみようと思いました。

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